坂本龍馬の手紙 乙女あて
慶応2年12月4日(1866) 絵入りで新婚旅行先から
(現代語訳/抜粋)
この時は薩摩の京都留守居役・吉井幸輔も一緒で、船の中でいろいろ話していきましたが、温泉へ一緒に遊びに行きましょうということで、吉井に誘われ、また、二人連れで霧島山へ行く途中、日当山の温泉に泊まり、また、塩浸という温泉にも行きました。
(※霧島温泉から山の頂上に登って天の逆鉾を見る)これは確かに天狗の面です。両方にその顔が作りつけてある。青銅製です。真正面から見たところです。(※図入り)やれやれと腰をたたいて、はるばる登りましたが、絵のような思いもかけぬおかしな顔つきの天狗の面があり、二人で大笑いしました。
そうした中で安心なのは、西郷吉之助(隆盛)の奥さんも彼も、とても心の良い人なので、ここへ妻(お龍)をお願いすれば、気づかいなく(仕事ができる)と考えます。
(解説)
寺田屋事件後の西郷に招かれたお龍との薩摩旅日記。
(高知県立坂本龍馬記念館『龍馬書簡集』より)
※霧島山登山のことを絵入りで述べている。実際に現地を経験した人が「この絵の通り」というくらい描写力抜群で、ここでも感じたこと、分かりやすい説明など線を引いて書き連ねているのが面白い。
(高知県立坂本龍馬記念館『案内図録』より)