24.吉井源太の手紙(控)俳諧仲間あて

吉井源太の手紙(控) 俳諧仲間あて

明治10年(1877) 東京の博覧会から高知の仲間へ

(原文)
益々御安静奉賀候  私事無事ニ相暮し居申候 定而留主ハ御世話様と奉存候、然ニ御願の書状五雪ヘ届候節、則盟林社席上ニ於テ直様三支雉先生へ相渡シ御評相受申候処 半梅 之御両子ニ点評を請取り候処 山生子の分 五雪より報告有之筈に御座候也
然ニ惣而 伊野の句から案し方面白きと平幹響も申され候
惣而俳諧ハ諸國盛となり 扠五雪子 ハ衛生局之事務ニ付 毎日博覧会へ出頭ニ相成 日々同席ニ而噺合致シ候 惣盟林社之模様も大ニ存込み有之候処 筆紙ニ盡難 兎角帰懸モ遠らぬ程 其せつ之上申ニ御座候
扠宿所ヨリ月之本へ近くして朝夕立入 両吟を初め略々満尾ニ相成候間 清書相願上候

(現代語訳)
益々御安静お慶び申し上げます。 私は無事に暮しております。さだめて留守のことは御世話様と存じます。さて御願いの書状を五雪ヘお届けしました節、盟林社席上において直接三支雉先生へ渡し、御評を受けました。三支雉先生と半梅の御両人に点評を受けました。山生子の分は五雪より報告があるはずでございます。
すべて、伊野の句は案じ方が面白いと平幹響も申されました。
俳諧は諸国において盛となっています。さて五雪子は衛生局の事務のために毎日博覧会へ出勤しています。日々同席し、話あっています。盟林社の模様も大いにわかりましたが筆紙に尽くしがたいので、ともかく帰県の時も遠からぬことですので、その節に申し上げます。
さて、宿所から月之本のところへは近く、朝夕に立ち入ってほぼ満尾いたしましたので、清書をお願いいたします。

(※文中の人物名はすべて俳号)