【海のむこうへ目を向けて】
幕末を過ぎ、海外諸国との交易が盛んになってきた時代に源太が直面した困難がうかがえる。これからの日本の産業のためには海外の商人との取り引きを前提にして、国内での小さい争いをやめよという注意や、外人とも理解しあうことが大切だと呼びかける姿勢は龍馬と共通のものがある。
また、輸送手段が発達途上であった当時、シカゴという遠い場所へ渾身の製品を期待を込めて出品したにもかかわらず、手違いにより着荷していないという知らせに青天の霹靂(へきれき)の思いをしたこともある。この時の告示文には図らずも配下の職人たちへの源太の思いやりが現れることにもなった。