「源太の手紙、龍馬の手紙」展によせて
「源太の手紙、龍馬の手紙」展にご来場いただきまして、ありがとうございます。
おりしも、本年は坂本龍馬ブームで高知県内も盛り上がっています。龍馬より9歳年上で、ともに世界に目を向け、熱い魂で、国のため、天下のために活躍した人が、いの町にいました。
その人とは、吉井源太。伊野の御用紙漉きの家に生まれ、幕末から明治時代にかけて和紙の近代化にその生涯を捧げました。吉井源太なしには、いの町が紙の町として繁栄することもなかったでしょうし、日本紙業界もまた同様のことと推測されます。
ふたりはそれぞれの分野で多くの人々と交流を図り、近代日本の礎を築いています。本展は、残された手紙から、ふたりの人物像や生涯の仕事、生き方を探り、その功績を伝えたいと企画しました。
本年は貴重な史料が次々と見つかっています。龍馬の手紙がいの町で漉かれた和紙に書かれていたなどということが判明したら、また一段と興味が増すことだろうと、紙の町としては秘かに思いをはせています。源太が残した手紙の下書きは原本を展示していますので、今から約150年前の紙でありながら、和紙の保存性、耐久性の良さも、あわせてご高覧いただきたいと存じます。
末尾になりますが、この展示会の開催にあたりましては、村上弥生氏、県立坂本龍馬記念館ほか関係者の皆様にご協力をいただきましたことに、厚くお礼を申しあげます。
平成22年7月 いの町紙の博物館