21.現代語訳防火紙

吉井源太著『日本製紙論』より(現代語抄訳)

【防火紙】
この紙は火力に耐える目的のために漉いた。植物から採った繊維はいずれも容易に燃焼するので、紙を不燃にするためには鉱物を加える。つまり、防火紙を作るには鉱物繊維である石綿を多く混ぜる。ゆえに石綿紙ともいう。
中国では以前よりこれを製造して、他国へ多く輸出したという。わが国においては、まだこの紙を漉いたと聞かない。
明治24~25年ごろに長崎の商人が中国製の石綿紙と石綿とを持って、試作を促しに来たことがある。そこで試しに漉いてみて、火に入れて試験したところ、はたして彼の言葉と違わなかった。
中国製のものはすでに信用と顧客を得て各種の用途に使われているようである。思うに、科学技術は日ごとに進む。これに更なる改良を加えれば、中国製をしのぐ優等品を作り出し得る。もしそうなれば軍隊用品として戦闘力の増強にも使われるかもしれない。私は自ら率先して、後日この紙を発表して、世間の評価を問いたい。