20.防火紙

防火紙

「石綿」は、明治25年くらいから使い始められたようで、日記には、製造されてまだ年が浅いと書かれている。これを紙に漉き込めば火に耐える紙が作れる。
日記には、明治25年に長崎の商社員が石綿(アスベスト)を持ってきて、試験的に漉いてみてほしいと依頼してきたとあり、山へ行って試験漉きをした記録がある。
源太はこの紙が軍艦の内壁に使えるのではないかと考えていた。
日常の用途としては、この紙に紙幣を包んで金庫に納めれば、万一の火災の場合にも消失が防げる。
このほか、船舶、陸上、蒸汽車、製鉄所、砲兵局、製紙場、鉱山場、蒸気缶(がま)(ボイラー)、銅線工場、金庫製造用など、火や熱を用いる場所で使うことができるはずなので、いろいろな工夫を願うと呼びかけている。特に、工業や軍備に生かしたいという気持ちが強くあったようだ。

◇◆ 注釈 ◆◇
紙が燃えるという現象は、温度の上昇とともにまず揮発分が引火して炎を出し、次に、残ったタール(炭素)分が燃えることで、繊維自体が燃えるという仕組みになる。石綿という燃えない成分が多く混じっていることによって引火を防ぎ、燃え広がるのがおさえられ、全体が燃えてしまうのを防ぐことができる。