18.現代語訳薬袋紙

吉井源太著『日本製紙論』より(現代語抄訳)

【薬袋紙】
薬袋紙の製造は土佐に限られ、全国に同種の紙は聞かない。藩政時代には藩の命令が過酷で、決して土佐以外での製造は許されなかった。また、販売も禁じられていた。ゆえにこの製造法を知らないだけでなく、この名を知る者もない。兵庫県名塩に同名の紙があるが、まったく異なる紙である。
この紙は明治維新の変革で製造も途絶えたが、もし今日これを製造して、用途と効力とを世間に知らしめることができれば、まったく需要がなくもないだろう。いや、私は実に必要な紙であると信じて疑わない。
白紙と黄紙と褐色紙との3種類があり、用途は王公貴人の衣服を包み、また、医者が薬包に用いた。その効力の著しい点は、衣服の色が少しも色あせないこと、薬剤の香気のようなものも、久しい年月の間に少しも失われないことである。
一般の者の使用も禁じており、需要は多くなかったが、国主からは毎年徳川氏へ歳暮と年始に必ず献納されていた。これを暮献上・春献上と呼び、すこぶる荘重なものだった。当時、ひそかにこれを大坂(現在の大阪)に販売した者があった。また、仙台に脱走して製造した者があったが、皆発覚して斬罪に処せられている。
このような事情なので、全国で製法を知らないのも無理のないことで、今日、需要がないのはその用途と効力を知らないためだろう。この製法には特別な方法があるのである。

(※日記に製造方法を記述)