2.はじめに

はじめに―明治期の紙業と吉井源太―

明治の中期になると、それまで和紙が使われていた用途で、どんどん洋紙が使われるようになっていきます。源太も紙の仕事で東京へ出かけた折、使われている紙が料理屋の会計伝票や箸袋などまで洋紙になっていることを体験し、手漉紙の先行きへの不安を大きくしました。幕末に大型の漉桁を開発し、量産ができるようにしていましたが、昔ながらの原料と漉き方だけでは先細りになるばかりだと危機感を強め、紙の製造法改良や新しい技術の開発に熱を入れ、同業者にも注意をうながしていきます。
こうした動きに呼応した高知県内外の同業者の働きにより、紙業はその他の伝統的な化学産業とは異なり、明治期に発展を遂げることになりました。『日本製紙論』は、このような源太の意志が結晶したものといえます。今回の企画展ではこの『日本製紙論』に焦点を当て、そこに書かれている紙の改良方法の一端をご紹介しています。

本展監修:吉井源太研究家 村上弥生