土佐典具帖紙の製造工程
(1)川晒し
保存してあった乾燥原料を清水(川や水槽)に浸け、不純物を溶出させ、やわらかくする。冬は4日、夏は1日ほど。
(2)煮熟
高知産の消石灰30~50%の溶液に原料を入れ、約6時間半かけ、釜へ蓋をして煮熟する。火を消してから一晩蒸し込み、原料の煮えムラを防ぐ。
(3)水洗
清流や晒し場の水槽で石灰汁を洗い落とす。4~5日かかる。
(4)除塵
清水中で2回の除塵を行い、さらに水中から取り出し、「空より」を行う。
(5)打解
打解機で2時間の入念な打解を行う。水を掛け、再び30分ほど打解する。
(7)紙漉き
- ネリにはトロロアオイを使用。
- 柿渋を塗った絹紗を竹簀に張り、その竹簀と、漆塗りの桁という高級な用具を使う。
- 紙漉きは縦揺りに横揺りを加えて紙料液を簀の上で回転させるという複雑巧緻で力強く激しい操作を行う。
手順は、汲み込み→横揺り→汲み切り(天地揺り)→びしゃ→おくり(攻めおくり、むねおくり、捨て水)
※簀肌が紙の表側になる
(8)圧搾
ジャッキを使い、紙層を傷めぬよう十分に時間をかけて脱水。
(9)乾燥
特製の高級馬毛刷毛で紙を干し板または、低温(50~60℃)の蒸気乾燥機に貼り付け、乾燥。
※昔ながらの板干し乾燥
※出典/『いの町史』2015・『和紙-風土・歴史・技法』(講談社刊)