
紙の博物館開館35周年記念企画展「源太から始まる近代和紙の系譜」に寄せて
1591年の土佐七色紙創製から始まった土佐和紙の発展は、吉井源太の功績なしには語ることができません。源太による製紙技術の改良、需要に応じた紙の開発や海外市場の開拓により明治時代を通じて高知県の和紙生産はトップとなり「製紙王国」の名をほしいままにしていました。
その功績を村上弥生氏の監修のもと7回にわたりご紹介してきました。今回8度目の企画展のテーマは「源太から始まる近代和紙の系譜」としまして、源太の改良、考案した数ある和紙の中から典具帖紙、コッピー紙、図写紙をご紹介します。
80余年の生涯を紙業の発展に捧げた源太の紙がどのように発展していったかをご覧ください。 末尾になりますが、この企画展の開催にあたりましてご協力いただきました監修者、お話をお伺いさせていただいた皆様、展示資料の提供・貸与にご協力いただきましたすべての方々に厚くお礼を申しあげます。
令和3年1月
いの町紙の博物館 館長 濵田 美穂


[目次]
1.吉井源太が改良した薄紙 ~明治時代に築かれた「紙のまち・いの」の基盤~………3
吉井源太プロフィール………3
吉井源太が残した日記(いの町指定保護文化財)………3
当時の紙の生産額………4
2.典具帖紙→タイプ原紙に ~薄くて強い楮の性質を生かして~………4
3.コッピー紙→謄写版原紙用紙に ~にじみにくく滑らかな雁皮紙~………5
土佐鉄筆会(1976~)について………7
謄写版原紙用紙メーカーを訪ねて (株)四国わがみ/旧(株)四国謄写堂………8
謄写版原紙・タイプライター原紙のメーカーを訪ねて (株)ヘイワ原紙………9
謄写版の資料館を訪ねて 山形謄写印刷資料館………10
4.図写紙(厚手)→現代の図引紙に ~細い線もにじまず透かして写せる三椏紙~………11
図引紙の和紙工房を訪ねて 田村和紙工房………12
5.複写を支えた近代和紙………13
記念講演「近代和紙の創出と吉井源太の貢献」村上 弥生………14
展示品一覧………18
【ご協力のお礼】
土佐鉄筆会(山岡遵・池上幸助)・ヘイワ原紙(株)・山形謄写印刷資料館(山形市)・(株)四国わがみ・田村和紙工房・吉井健晃・吉井裕公
(敬称略)

編集・発行 いの町紙の博物館
発行日 2021年3月
〒781-2103
高知県吾川郡いの町幸町110-1
TEL088-893-0886 FAX088-893-0887
mail. tosawasi@bronze.ocn.ne.jp
https://kamihaku.com