2018年6月に岐阜県美濃市の和紙産地を訪問しました。
ずっと以前に展示の見学だけをしたことがあった『美濃和紙の里会館』で、まずお話をうかがいました。
以前の訪問の時よりも館内が広く、充実した感じを受けたのは、後で調べて分かったことですが、2017年にリニューアル・オープンされたからだったのでしょう。
会館で館長・清山健さんと美濃手すき和紙協同組合理事長・鈴木竹久さんからお話をうかがいました。
和紙の里会館には共同作業場も併設されていて、研修コースを設けておられることをはじめ、産地全体の様子をうかがいました。
会館の周囲を案内いただいてその日は辞去し、翌日は紙漉き職人さん訪問の予定となりました。
まずは会館にて館長さんから、美濃和紙産地としての活動についてさらに色々お話をうかがいました。
茨城県の大子町で大子那須楮の栽培を行ってもらうにあたり、永続のために色々と工夫されているということでした。
職人さん訪問として、最初に石原英和さん方へお邪魔しました。
まずは、いの町でのフォーラムにパネリストとして参加いただくお願いに対して了承をいただき、引き続いて長年の職人さんとしての歴史のお話をうかがいました。
どれもこれも興味深いお話でしたが、一番は「コピゆり」という漉き方、簀桁の扱い方があったというお話でした。
「コッピー紙」という、かつて存在し、今はほとんど知られていない「コッピー」という複写用の紙の漉き方で、この紙についての歴史をまとめようとしていた私にとっては、願ってもないお話でした。
このほか、昭和の初めころに典具帖紙をコーヒーフィルター用として輸出していたというお話も、そのために紙を丸く切裁する木の枠も見せていただき、具体的に理解することができました。
石原さん方では娘さんが後継ぎとなり、どんな紙でも作れると誇らしげに話してくださいました。
美濃手すき和紙協同組合理事長でいらっしゃる鈴木竹久さん・豊美さんご夫妻の和紙工房では、漉き・干し・選別の作業を見せていただくことができました。
漉きの師匠格である豊美さんから、漉くときに大切なことをお聞きし、竹久さんからは選別について詳しくお聞きしました。
外では強い日差しの中、干し板に貼られて天日干しされている紙を見せていただきました。
良く乾きそうに思えましたが、風もないと乾きにくいということでした。
古い歴史のある産地であることが隅々に良く感じられる訪問でした。
![]() 長良川に注ぐ板取川の風景 |
![]() 大子那須楮の白皮の束 |
![]() 石原英和さんによる「こぶり」の実演 |
![]() 漉いた紙を重ねる(鈴木豊美さん) |